ランタン山域(ネパール)トレッキング 2006年1月

旅の準備

   平成17年11月20日、ポールコンテストの日、以前から今年もヒマラヤへ行きたいと言っていたが煮え切らなかった堀田氏から、休みが取れることになったので行くことにしたと意思表示があった。ヒマラヤ行きについてはノウハウを持たず、一人で行く度胸はなかったが行きたいと思っていた私は、翌日、堀田氏と一緒に行けるよう、休暇取得の許可を得た。そして、この時から、航空券の確保、現地情報の収集、計画策定、現地の手配など、旅の準備を始めた。    まず、ガイドブック「地球の歩き方」を買い、予備知識を広げるとともに、バンコク・カトマンズ間の航空券は堀田氏が手配してくれることになったので、私は、成田・バンコク間の格安航空券をインターネットで探した。並行して、私の知人の知人で、ネパール政府に技術協力のため派遣されている人物と連絡をとり、現地情報の収集を始めた。この人物(武士)は、現地の日本人がよく使い日本語が分かる社長が経営するカトマンズの旅行社とも連絡をとり、共産ゲリラの活動状況、ネパール国内の交通手段等様々な情報を伝えてくれた。具体的手配のためには、この旅行社とインターネットで、日本語で、直接連絡を取った。今回、トレッキングのための期間としては比較的短い休暇しかとれなかったため、カトマンズから比較的近く、陸路のため飛行機乗り換えのための時間的ロスの無いランタン地域へのトレッキングにすることを、12月中旬に決めた。 カトマンズと基点の村との間の移動手段としては、この旅行社を通じて、ランドクルーザーを確保するとともに、共産ゲリラによる道路封鎖に備え、電話連絡をすればヘリをチャーターできるよう手配した。また、トレッキングルート沿いで電話のある村も確認した。宿探しのために無駄な時間を使わなくていいように、カトマンズの宿だけは、事前にインターネットで予約した。ポーターは、旅行社を通じて手配することもできるのだが、よく働く動機づけとして料金を後払いにするため、基点の村で直接雇うことにした。旅行社を通すと、商慣習上、先払いとなるそうである。

ポーター

 トレッキング中の荷物は、宿に泊まることを前提にし、できるだけ必要最小限に絞るとしても、厳寒の環境も想定すれば、一人あたり十数キロにはなると考えられる。この荷物を、高地を含めて何日も担いで歩くのはたいへんであり、通常、ポーターを雇い荷物を持たせ、自分は、カメラ、非常食、若干の衣類など、必要最小限を持つ。ポーターが担ぐ荷物の限度は1人30kgまでと言われているため、1人十数キロでは軽いが、我々一人々々が自分のペースで歩いても、それぞれにポーターがおり、必要な時に必要な荷物を出したり、山の名前などを聞きたい時に聞いたりできるように、我々一人々々にポーターを雇うことにした。また、ある程度信頼できるポーターを雇う方法としては、旅行社に頼む方法とトレッキングの出発点となる村の宿に紹介してもらう方法があるが、前者では、前払いであるため、雇い入れた後真面目に働いてくれるかどうかはっきりしないのに対し、後者では、交渉次第で後払いにすることができるため、我々は、後者を選択した。即ち、後払いとし、食事代宿代込みの基本料金を決め、働きが良ければ働きに応じてチップを払うことを約束した。そして、トレッキングが終わった日に、厳しい査定に応じてチップに差を付け料金を支払った。

言葉(共通言語)

 空港、宿、ポーターとの意思疎通、宿で会ったトレッカーとの会話など、日本を出て日本に帰るまで、共通言語は英語である。話をする状況から、互いに何が話されようとしているのかはある程度想定でき、また、通常、互いに聞こうとしているため、流暢な英語ではなくても、身振りも交えて話せば、日本の高校卒業程度の英語でも、ある程度通じるものである。重要なことは、話そう、伝えようという強い意志をもつことである。誉めているのか定かではないが、このことは、堀田氏が1人で何度も海外を旅行していることからも理解できる。なお、今回我々が使ったカトマンズの旅行社を通せば、日本語を話せるガイドを雇うことも可能である。

共産ゲリラ(マオイスト)対策

ネパールの共産ゲリラは、盗賊ではなく、政治運動グループであり、観光がネパールの主要産業であることを理解しており、外国人観光客を攻撃の対象としないことを表明しているとされている。但し、寄付金として、一人当たり約$20を徴収することがあり、その場合には領収書を発行する。次回以降は、金を要求された旅行者がその領収書を見せれば、金は取られないと言われている。 共産ゲリラは、その活動の一環として、市民にストを強要したり道路を封鎖したりすることがあり、それは、バンダと呼ばれている。これは、宣言して行われ、これが行われると、バス、タクシーは動かず、陸路は断たれる。そのため、この対策としては、空路を使う計画にするか、陸路を使う場合には、電話等で状況を確認できる計画にし、事前に旅行社と調整し、バンダが宣言されたらヘリをチャーターできる体制にしておくなどが考えられる。そして、今回、不測の事態に備え、この措置をとった。

強盗あるいは山賊対策

どこの国にも犯罪者はいる。強盗や山賊に襲われないようにするためには、人里離れたところや強盗が身を隠し易い場所が多いところでは、その抑止対策を考える必要がある。過去に賊に襲われたトレッカーの例を見ると、一人で歩いている場合が多いことから、1つの対策としては、複数人で歩いていることが分かるようにすることである。従って、注意が必要な区間においては、グループが一緒に行動せざるを得ない。また、一人で行く場合においても、必ずポーターを雇い、自分は重い荷物を持たないでポーターが近くに居ることを示唆するとよい。